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アメリカでは裁判でグリホサートは危険だと認められたのですか?

食の疑問答えます

結論から先に言うと、アメリカの裁判でグリホサートが危険だと認められたわけではありません。

「カリフォルニア州はグリホサートに『発がん性』の表示を義務付けましたが、米国環境保護庁(EPA)は『グリホサートに発がん性はない』として、この表示を禁止しています」が事実です。つまり現在は、グリホサートを主成分とするラウンドアップ関連製品への発がん性の表示は義務付けられていません。

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ではなぜアメリカでは、モンサントを相手取った訴訟が急増しているのでしょうか。それはIARCがグリホサート(ラウンドアップの主成分)をグループ2Aに分類したことをアメリカの弁護士たちがビジネスに利用しはじめ、ラウンドアップ裁判の原告を募集するテレビCMが急増したからです。いわゆる“訴訟ビジネス”です。日本人には馴染みがありませんが、一攫千金の和解金を求める弁護士だけでなく、広告資金を融通するファイナンス会社や訴訟専門のマーケティング会社の暗躍により原告数が急増したという背景があります。

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しかしジョンソン氏の裁判で、実際にモンサントが敗訴した点については、どのように考えればよいでしょうか。裁判ではそもそも、発がん性の有無といった科学的な評価をすることはできませんし、科学的な評価を行う場でもありません。ラウンドアップ裁判は、「原告(この場合はジョンソン氏)が病気になった人身被害」について、「その責任が被告モンサントの故意や過失(不法行為)にあるかどうか」を争うものです。この場合の原告が立証すべき過失とは、ラウンドアップの発がん性のある・なしではなく、ラウンドアップの製造責任者モンサントの過失によって不法行為が成立しているどうか、に限られます。

しかもアメリカの裁判は陪審員制であることも忘れてはいけません。陪審員は科学者ではないので、どちらの主張が科学的あるいは医学的に正しいかを判断することはできません。弁護士たちは、いかに一般人である陪審員の心を揺さぶり、信じさせるかが勝訴のポイントです。原告が勝訴したのは、ラウンドアップの発がん性を証言した証人の方を陪審員が信じたからです。だからといって、ラウンドアップの発がん性が科学的あるいは医学的に「ある」ことをアメリカの裁判所が認めたことにはならないのです。

ちなみにその後、ジョンソン裁判の弁護士がグリホサート製造企業に対して高額の顧問契約を持ち掛け、拒絶すれば裁判に持ち込むと脅迫した罪で連邦捜査局(FBI)に逮捕されるという驚きの展開になりました。

※週刊新潮ファクトチェックより抜粋・再編集

『週刊新潮』(2020年4月23日号)掲載 グリホサート/ラウンドアップに関する記述を徹底検証2

 

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