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第8回 高品質な小麦生産を可能にする管理ツール グリホサートの真実Part2【アメリカ産小麦は安全か】

食と農のウワサ

グリホサートほど誤った情報が拡散され、風評被害を被っている農薬はない。対策の一環として全米小麦生産者協会では、アメリカの小麦生産におけるグリホサート使用に関する“事実”を2017年に「グリホサートの真実」という5回シリーズにまとめた。Part2はグリホサートを使った高品質な小麦生産の事実に迫る。

グリホサートの使用は経営判断

アメリカは世界で最も優れた小麦を生産している国の一つで、6種類ある小麦すべてを、最高の品質で大量かつ確実に供給できる唯一の生産国である。

毎年、新たな環境条件が生まれ、新たなストレスが小麦の収穫に影響を与えるので、小麦生産者は、これらのストレスを軽減するためのツールや製品を利用する。生産者は収穫時に高品質の穀物を確保するために、どのツールが最も効果的にストレスを軽減できるかを判断するのだ。

例えば、ある年の秋、平原地帯南部では、新しい小麦の作付け前に雑草の生育に適した気象条件となったことがある。その雑草は、ウイルスとそれを媒介するダニを保有しており、雑草が成長して新しい健康な小麦に感染するのを防ぐためにグリホサートを使用することは、生産者が経営者として行う管理上の決定の一つとなる。

小麦畑にウイルスが定着してしまうと、いくら感染した植物を処理しても病気の広がりを止めることはできず、収穫量の減少と、小さくて軽い品質の悪い小麦を生む。

「グリホサートの真実」の第1回で、小麦生産面積の65%以上はグリホサートが散布されていないことを説明した。残りの33%の生産面積のほとんどは、雑草を管理するためにグリホサートを散布しており、作付け前、作付け時、または作付け後の小麦の発芽前に行われる。

もう一つのグリホサートの使用法が、収穫前の作物に散布するプレハーベストである。アメリカの小麦生産面積の3%以下で行われているプレハーベストは、小麦の粒の発達が完了し、作物が成熟しきってから、収穫の7~14日前までに行われるため、小麦がグリホサートを吸収することはなく、畑の雑草だけを枯らすことができる。北部平原の農家にとっては重要な生産管理ツールであり、雨天で雑草が多く発生し、期待した品質・収量の収穫が危ぶまれる状況などにも品質を保った収量の確保が可能だ。

科学的根拠に基づくリスク評価

アメリカ産のプレハーベスト小麦に付着した微量のグリホサート量は、アメリカ環境保護庁(EPA)が承認した残留基準値をはるかに下回ることが繰り返し確認されている。具体的にどのくらいの量かというと、体重約70kgの人が一日許容摂取量(ADI)に達するには、1日に36,000個のパンを食べる必要がある。

規制機関や科学機関は、科学的根拠に基づいた評価を行い、ラベルの指示に従って使用した場合、典型的なグリホサートの使用は、人体や環境に悪影響をもたらすことはない、つまり健康リスクはないと結論づけているのだ。EPAは40年以上にわたり、人間が摂取した場合のリスク評価と科学的根拠に基づく評価を通じて、グリホサートはヒトに対する発がん性はないと判断してきた。グリホサート系除草剤は、アメリカやその他の国々で安全に使用されてきた長い歴史がある。

小麦生産者は、安全性の判断やデータ、研究、科学的証拠を連邦政府に頼り、経験に基づいた経営判断を行い、また、小麦生産者は、EPAが定めた農薬の使用に関する規制を確実に遵守している。小麦生産者が自分の農場で日々、毎年行っている決断は、十分な情報を得た上で、米国の規制を遵守して慎重に決定され、倫理的にも健全なものなのである。

この記事は、全米小麦生産者協会のWebサイトに掲載されたThe Facts About Glyphosate, Part 2: Growing a Quality Wheat Crop with GlyphosateをAGRI FACT編集部が翻訳・編集した。

第9回へ続く

【アメリカ産小麦は安全か】記事一覧

 

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