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1. 農薬は、農作物を害虫、病気、雑草など有害生物から守るために使われる【農薬をめぐる重要な10項目】

食の疑問答えます

農薬は、農作物を害虫、病気、雑草など有害生物から守るために使われる薬剤のことです。農薬取締法で、国の審査を経て登録された「登録農薬」と、農林水産大臣および環境大臣が指定する、登録を必要としない「特定農薬(特定防除資材)」が定められています。登録農薬は、病害虫や雑草などに対する防除効果が承認されるとともに、安全性について厳しく規制され使用基準も明確に決められています。生産現場では、ルールを守って安全に、効果を発揮するように使われています。
農薬には 殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺そ剤、 植物成長調整剤、誘引剤、展着剤、天敵、微生物剤の分類があります。また家庭用の殺虫剤の場合、対象になる害虫によって、 所管する法律は異なっています。

(1)農薬とは

農薬とは、農作物を害虫、病気、雑草など有害生物から守るために使われる薬剤のことをいいます。ただし、肥料や畜産に使われる薬剤は含まれません。

農薬取締法では「農薬とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下農作物等という。)を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下病害虫と総称する)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう」と定義され、また、「農作物等の病害虫を防除するための天敵も農薬とみなす」とされています。

天敵とは、害虫を捕食したり、害虫に寄生したりする昆虫などの生物をいいます。農薬として、農林水産省に登録されている天敵は、捕食性ダニをふくめ9種14品目あります。

(2)登録農薬と特定農薬

農薬取締法の「農薬」には、国の審査を経て登録された「登録農薬」と農林水産大臣および環境大臣が指定する、登録を必要としない「特定農薬(特定防除資材)」があります。登録農薬は、病害虫や雑草などに対する防除効果が承認されるとともに、安全性について厳しく規制されています。また、使用基準も明確に定められ、それを守ることによって防除効果と安全性が確保されます。特定農薬は、2003年3月に、「重曹」、「食酢」、「天敵」の3種類が指定されています。

(3)農薬の種類

農薬は農薬取締法の定義(第1条の2)に従って用途別に分類されることが一般的です(表2-1)。

表2-1 農薬の分類

(農林水産省「農薬の基礎知識」http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html#kiso1_1より作成)

(4)同じ成分でも管理と規制が異なる

家庭用の殺虫剤は農薬の殺虫剤と同じ成分が含まれていますが、農薬取締法で管理・規制されている農薬と違って、使用場面によって異なる法律で規制されています(表2-2)。家庭用殺虫剤も所管官庁に登録や製造承認の申請を行ない、安全性の審査が行なわれています(一部は自主基準)。

表2-2 殺虫剤の対象害虫と法的関係

(出典:日本家庭用殺虫剤工業会「家庭用殺虫剤概論 III」)

(5)農薬の名前はややこしい?

農薬は同じものでも、名称が違うことがよくあります。スミチオン、フェニトロチオン、MEP、これらは、みな同じ農薬をさします。農薬は化学物質なので、有効成分の化学名で呼べば、間違いがないのですが、化学名は複雑で極端に長いものも多く実用的ではありません。そこで、一般名が使われます。先にあげた、フェニトロチオンは、ISO(国際標準化機構)による国際的な一般名で、MEPはこの名前に準じる名前です。スミチオンは商品名で、メーカーが付けたものです。また、種類名は、国内で農薬登録をする際の名称で、一般名に粒剤や乳剤など農薬の剤型をつけたもの、試験名は農薬の開発試験段階での名称で、コードネームとも呼ばれます。このように、いろいろな名前があるのは、農薬に関わるそれぞれの立場の人に分かりやすくするためで、農薬の取り違いなどを防止することができます。

<農薬の名称の例>

※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ 農薬編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。

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