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Vol.8 腐敗ビジネスの中心地 疑惑のIARC関係者たち【日本・世界の「反グリホサート運動」の真相】

日本・世界の「反グリホサート運動」の真相

AGRI FACT執筆者でもある農業ジャーナリストの浅川芳裕氏が「日本・世界の反グリホサート運動の真相」と題し、オンライン講演を行った(2021年6月20日「食のリスクコミュニケーション・フォーラム2021」第2回)。その中で、浅川氏はグリホサート問題の中心地IARC(国際がん研究機関)の内部と背後で蠢く人たちの腐敗ビジネスに鋭く言及し、食の不安を煽って農業や社会を歪める構造の正体を浮き彫りにした。今回は、Vol.8『腐敗ビジネスの中心地 疑惑のIARC関係者たち』をお届けする。(Vol.7はこちら

腐敗ビジネスの中心地
疑惑のIARC関係者たち

先述した5万人以上の農家を対象にしたAHS(農業健康調査/米国国立がん研究所など)があると知りながら、なぜそれが不採用だったのか。これについてはグリホサート評価委員会のアーロン・ブレア座長が実はこの疫学調査の研究員でした。当然、発がん性を否定したこの研究のことは知っています。

ブレア氏はIARC評価直後に、カリフォルニア州裁判に出廷し「グリホサートとがんとは無関係という調査結果を知っていたこと、もしこの調査をIARCに通告していたら、その判断は変わっていただろう」と証言しました。彼はラウンドアップ裁判の原告側、つまりバイエルを訴える側の弁護士事務所の訴訟コンサルタントを時給500ドルで務めていたのです。IARCのグリホサート評価に関する利益相反疑惑も指摘されています。

グリホサート問題では、専門家と活動家(アクティビスト)が訴訟ビジネスで一体化する専門家・アクティビストのリーガル複合体が形成されていた。このスクープ記事によって、ロイターの記者は年間最優秀科学記事賞を受賞しました。

グリホサート評価委員会のブレア座長は、ラウンドアップ裁判をめぐる恐喝罪で有罪判決が下ったリッツェンバーグ氏からもお金を受け取っていたということで、これも利益相反ではないかと言われています。

さらにブレア氏と交流のあるオーガニック業界出身の反農薬GMO団体のキャリー・ギラム氏は、リッツェンバーグ氏の訴訟広報に協力していました。世論誘導装置ができあがっていたということです。

国際がん機関(IARC)のみハザード評価&そのプロセスの問題点

ロイター/ケイト・ケランド記者のスクープ記事(審査時にその存在を知りながら「発がん性を否定する」ヒトの疫学調査を不採用)

ロイターのケランド記者はさらに取材を続け、グリホサート評価委員会の作業部会に所属する専門家全員に「なぜ、誰が、いつ変更したのか」という質問状を送りましたが、全員回答しませんでした。IARCからの回答は、「モノグラフのドラフト版は審議用であり、機密事項である」と回答を回避されました。それでも彼女は追及をやめず、IARCのディレクターまで取材を進めるも、「IARCの評価はその科学的厳密さにより広く尊敬されている」とまったく回答になってない回答ではぐらかされてしまいました。

欧州の評価プロセスも日本の食品安全委員会と同じですが、膨大な評価のプロセスを誰もがネットで辿ることができます。EPA(米国環境保護庁)もグリホサートの発がん性の可能性を継続的に評価した科学諮問委員会の1201ページにわたる議事録を全文公開しています。何も発表できないのはIARCだけなのです。

IARCの評価(モノグラフ)に対して、各国の規制機関から科学的な反論があったわけですから、科学的に答えるのが国際評価機関としての責務でしょう。しかしIARCが実際にやったことは、モノグラフを事実・科学ベースで論評する全ての人物・組織に向け、組織として(また反農薬GM系記者を使い)誹謗中傷を開始することでした。

ロイターの記者には「モンサントの手先」と発表し、ロバート・タロン博士には「モンサントからお金を受け取っている」と事実無根の攻撃をしかけて「博士の論文掲載予定の雑誌社に圧力をかけ、科学論文をリライトさせ、意見記事に変更」させました。EFSA(欧州食品安全機関)からの科学的な討論の場の設定・招待に対しては「おたくの組織こそ(われわれの組織について語る)誤りを訂正していない」「私の理解では、欧州保健機関の評価はすべてグリホサートのメーカーが書いたものだから討論を辞退する」と発表しました。

組織の攻撃体質を表すような表現ですが、こうした文書を書いているのは誰なのか。それを辿っていくと、まず一人目にIARC研究員のガイトン博士が浮かんできます。私の調査では強引にグリホサートをモノグラム入りさせ、発がん性物質として研究対象にすることを主導した人物。

彼女は2014年に反農薬NGOの会合で講演し、「グリホサートに発がん性があることを示す研究をただちに行う」と約束し、IARC作業部会ルールに反して、モノグラフ112の検討期限を過ぎた後、「グリホサート」を対象に入れ込みました。そしてモノグラフ発表後は、モノグラフ委員に「ドラフト文書の破棄を薦め、決定プロセスを公表しないよう忠言」するメールを送信。EFSA(欧州食品安全機関)から「リホサートの発がん性を示唆する証拠はない」とIARCの科学的手続きを問われた直後、EFSAを攻撃する記事を発表しています。

また彼女は欧州議会の公聴会で「期限が過ぎていた」ルール違反を問われ、「期限内の2014年3月にグリホサートの検討開始」と偽証しました。実際は同年10月です。

さらにロイターのケランド記者からIARCモノグラフの“不正な“ドラフト改変を指摘された際は、「機密事項」(規制機関は審査プロセス・内容を公表)と回答し、記者は「モノグラフ作業部会のメンバーに嫌がらせをした。彼女はモンサント社のために働いている」と誹謗中傷した張本人です。

そして2016年の反農薬GM活動家イベント「国際モンサント法廷」の招待を受けるも、職員内規により欠席。ただし、代わりに管理職のモノグラフ全体責任者を推薦しました。のやり取りというのが出てます。

メールのやりとり(ロイターの暴露記事対策)

GMWatchの活動家クレア・ロビンソン氏とガイトン氏のメールのやりとり(ロイターの暴露記事対策)をモノグラフ委員と共有

Vol.9へ続く

【日本・世界の「反グリホサート運動」の真相】記事一覧

筆者

浅川芳裕(農業ジャーナリスト、農業技術通信社顧問)

編集担当

清水泰(有限会社ハッピー・ビジネス代表取締役 ライター)

 

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